マークにはどんな意味があるの?その①
これらのマークを見たことがありますか?
数年前はオリーブオイルの選び方として「他にも良いオイルはいっぱいありますが、このマークを目安にしてもいいですよ」、とお伝えしていました。
しかし、これを伝えると、香りや味わいなんて考えずにマークだけ見て選んでしまったり(笑)。
とにかくこのマークのついてるものを買わないと!と思いこんでしまう方が多いことに気付き、近年はこのマーク達の説明は軽くするようにしています。
まず、なぜそんなことになるかというと、オリーブオイルの偽造問題があります。
オリーブオイルの偽造は蔓延していて、最近ではそういった著書やサイトでも情報が発信されていて、関心が高まっています。「偽造品は買いたくない=風味より証明書」の図式とでも言いましょうか。
正直、私はある程度訓練も積んできたので(といってもまだまだですが)、このマークを目安にオリーブオイルを選ぶことはありません。テイスティングして選んでみたらマークがついているものもあった、という感じです。
でも、マークの意味を知れば楽しみながらオリーブオイルを選ぶきっかけの一つになるかもしれません。私も興味でマークの付いたものを選ぶことがあります。
では、マーク、マークと言っていますが、これらのマークは一体何なのでしょうか。
Ponte miYaが現在イタリアのオリーブオイルを扱っているので、
このテーマは、イタリアのオリーブオイルボトルにつくことがあるマークについて説明していきたいと思います。どれもEUで規定されています。
まず、今回採り上げるのはこのマークです。
イタリア語だとDenominazione di Origne Protetta、略してDOPと言って、
日本語だと原産地保護呼称(認証)と言われています。
オリーブオイルだけに与えられるマークではなく、農業生産物や加工品全般にこのマークの付くものがあります。
DOPを与える上で重要視されていることは、地域性と地域特有の風味。
認定された指定の地域で生産されたもので、その地域の産物としての特徴を持っているもの、ということになります。
例えばハーブのバジルにもDOPの付くものがあります。
イタリアのリグーリア州、ジェノヴァ県の「プラ」という町で作られるバジルです。
「バジリコジェノヴェーゼ」という名称でDOP認定になっています。
他の品種のバジルよりも葉が小さめで、香りも特有のものがあるので、区別され、また伝統的にもずっと作られていたことからDOPに認定されているのです。
また、このバジリコジェノヴェーゼがDOP認定を受けるための厳しい規定がたくさんあり、全てクリアしてやっとDOP認証が得られています。
このバジリコジェノヴェーゼをローマで育ててもDOPバジリコジェノヴェーゼには認定されないのです。
では、DOP認証されていないバジルはダメなのか?
お察しの通り、そんなことありません。
特定の土地を利用して栽培することによって得られるバジルの風味は、
プラのバジル=バジリコジェノヴェーゼという特徴をとらえていて、
それはそれで素晴らしいものがありますが、
DOP以外のバジルであっても、それぞれに個性あるバジルを生産し、育てる努力は同じです。
質の高さは生産者の努力に尽きると言ってもいいでしょう。
なんだかバジルのブログになってしまいましたが(笑)、
オリーブオイルで言うとDOP認定されている地域はイタリアで40ヵ所以上あります。
何の品種を何パーセント以上使用しなければいけないとか、収穫はこの時期とか、製造方法、こういう香りのもの…などなど細かい規定があり、DOPによってその内容は違います。
特に重要視されるのは感覚検査の結果です。
欠陥があってはならないということと、その土地ならではの特徴というのは、やはり風味にあらわれるからでしょう。その土地特有の味を守ることがDOP認証の役割の一つだと思います。
極端な話、今、新品種を発見してそのオリーブオイルを最高の状態で搾ってもDOPは与えられないのです。それなりの文化・伝統があってこそ地域性は生まれるわけですね。
ちょっと規模が違いますが、例えばイタリア旅行のお土産を買って帰ったらMade in Chinaと書かれていて悲しくなることありますよね(笑)。
ですから、DOPは原産地の証明になります。それに、その土地特有の味が守られているということですので、地域別にDOPオリーブオイルの味比べをしてみるのも面白いかもしれません。
ちなみに、イタリアオリーブオイルのDOPはEUの中でも特に多いです。それだけイタリアという国は地域性が豊かなのですね。
ここで、最初の話に戻ります。
DOPオリーブオイルも、もちろんお薦めですが、そこまで極端にDOPに固執する必要はありません。
確かに偽造品や欠陥オイルには気を付けていただきたいですが、
DOPに縛られていると、オリーブオイルの世界がとても狭くなってしまい、新たな素晴らしい一本に出会うチャンスが少なくなってしまいます。
また、DOPであっても欠陥オイルに当たってしまう可能性もあるわけです。
今回のお話で、DOPは管理された地域性を持つということと同時に、DOPに固執しなくても良いということが伝わっていれば幸いです。
DOPを作る生産者の多くがDOP以外のオリーブオイルも作る理由は、
指定以外の品種も使ってみたいとか、
規定に縛られずにDOPとはまた違う香りや味わいを作り出してみたい、
DOPと関係なく究極のオイルを作りたい、
という作り手精神によるものだと思います。
現に、オリーブオイルのコンテストで受賞するオイルは、DOPなしのオイルも数多くあります。
また、認証を取るにはそれなりにお金がかかります。
DOP認証の取得は義務ではないので、あえて認証を取らないでDOPと同等のオリーブオイルをリーズナブルに販売する生産者もいるわけです。
それに、そもそも指定の地域以外ではどうやっても取得できないわけですから、
DOPだけが品質上絶対的なものということではないのです。
ということは、最終的にはやはり自身の舌の判断が大切になるということですね!
お読みいただき、ありがとうございました♪
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