オリーブオイル「ノヴェッロ」
日本でも搾りたてのオリーブオイルが楽しめるようになりました。
と言っても、まだまだ認知度の低い、搾りたてのオリーブオイル「ノヴェッロ」。
今の時期、2017年度収穫のものを見つけたらそれはオリーブオイルノヴェッロです。
ノヴェッロはイタリア語で「できたての」「生まれたばかりの」という意味で、もちろんオリーブオイル以外にもこの単語は使われます。
例えば、日本ではボジョレーの新酒であるボジョレーヌーボーが大変人気がありますが、イタリアでも出来立てのワイン(イタリア語でヴィーノ)のことをヴィーノノヴェッロと呼びます。
しかし、いくら「ノヴェッロ」とボトルに書かれていても、半年後に開けたのでは、もはやそれはノヴェッロとは言えません。
ここではオリーブオイルノヴェッロのことを「ノヴェッロ」と呼ぶことにします。
オリーブオイルの生産時期はオリーブの収穫時期の秋~冬にかけてです。
生産したオリーブオイルはこの時期、初物として「ノヴェッロ」と呼ばれます。
実は私、このような仕事をしているにも関わらず、昔は恥ずかしながらノヴェッロは搾りたて且つノンフィルター(無濾過)のことだと思っていました。
というのも、ノヴェッロを買うと大体ノンフィルターのオイルだったからです。
普段はフィルターをかけている生産者もノヴェッロに限ってはノンフィルターで瓶詰しているところが多いのです。
とても単純なことだったのになぜ気づかなかったのだろうと思うのですが、この考えが違うと分かったのは「新米と同じと考えたらいいですよ」ということを聞いてからでした。
お米を収穫して、その時収穫したものは1年を通して食べることになりますが、収穫の時に食べれば新米で、ある程度時が過ぎたらその後はいつの間にか単にお米と呼ぶようになっているようなものです。
なるほど、ノヴェッロは搾ってすぐに消費する、ということが重要なわけです。
しかも熟れに熟れてしわしわになったオリーブの実で搾ったオイルでは意味がありません。
明確に決まっているわけではないですが、全体を通して「新鮮である」ということが一つのポイントになると思います。
もともとはオリーブが収穫出来た事を祝うお祭りのようなものとして振舞われていたものだったらしいですが、搾りたての味わいを楽しめるということで、ノヴェッロが市場に出回るようになったのだとか。
ではなぜノヴェッロにはノンフィルターが多いのか。
単純に昔は売り物としてというよりお祝いとしての意識が強いので、搾ってすぐ味わうことが伝統でもあるということは言えるでしょう。
フィルターについては様々な考察があり、とーっても奥が深いものなので、簡単に言える内容ではないのですが、一般的にはフィルターにかけずにボトリングすると、僅かな水分や澱等も一緒にボトリングすることになります(機械によってはそうならないこともあるようです)。
ノヴェッロが普段見かけるオリーブオイルより濁っていることが多いのは、そのためです。
こういった水分や澱がオイルに含まれていると、時間の経過とともに嫌気性発酵を起こして欠陥オイルになるリスクが高くなります。
しかし、ノヴェッロは搾りたてを味わうことを目的にボトリングされたもの。
すぐに消費することは目に見えていますし、すぐに味わうのでなければノヴェッロを使う理由がありません。
それに、ノンフィルターは欠陥となるリスクは高いものの、逆に新鮮なうちはオリーブオイルの特徴であるポリフェノールなどの栄養価が通常より高いので、すぐに消費することを目的としたノヴェッロだからこそノンフィルターで瓶詰めできるということもあるでしょう。
ノヴェッロにノンフィルターが多いのも頷けます。
フィルターにかかっているノヴェッロはというと、品質を保ちやすいのでノンフィルターほど慌てずに消費することが出来ます。
要するにフィルターをかけたものはノヴェッロと言われる時期を過ぎてから開けても楽しめるわけです。
フィルターがけのノヴェッロは日本では少ないと思いますが、見つけたらこちらもぜひ試してみて欲しいものです。
フィルターにかけていてもかけていなくても、初物オリーブオイルはノヴェッロです。
同じ品種・同じ作り手・同じボトルで比べてみれば、新鮮なものの方が栄養価は高いのは同じです。
とは言いながらも、通常のオイルにも栄養はきちんとありますし、通常のオイルはある程度の期間、落ち着かせて、繊細な香りも引き出し、豊かにそのシーズン楽しめるオイルへと仕上がります。
個人的にはノヴェッロよりも輪郭がはっきりとしているイメージです。
ノヴェッロの方は何よりも新鮮さ、青っぽさがあるのが特徴。
年に一度の味わいを楽しみたい方、今の時期がチャンスですので、収穫年をチェックしてノヴェッロを試してみてくださいね!
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